こんにちは整復サロンTSUNAGI
斎藤彰裕です。
私も3人の子どもがいるので、その妊娠から出産、出産後まで妻のケアをしてきました。
その中でも大切なケアの一つに骨盤ケアがあります。
妊娠初期から妊娠後期そして出産後まで骨盤がどうなっていくのか、そして先を考えてどういったケアをしないといけないのかを含めると妊婦帯は非常にいいツールになります。今回はその理由と選び方について記します。
目次
1.骨盤ってどんなもの?2.妊婦帯をススメる3つの理由
3.ライフスタイに合わせた妊婦帯の選び方
4.妊娠初期から後期の骨盤変化と妊婦帯の使用
5.出産後の骨盤変化と妊婦帯の使用
1.骨盤ってどんなもの?
骨盤とは正確にいうと骨盤環といいます。
坐骨、腸骨、恥骨という3つの骨が合わさり寛骨という骨を形成しており左右に1つずつあります。その左右の寛骨が後ろでは仙骨という骨を挟み、前では恥骨同士がつながり(恥骨結合)、環(わ)となっています。
その環の中の空間が骨盤腔であり、子宮もその腔に収まっていて胎児もそこで成長をしていきます。
妊娠中はもちろんのこと、女性にとってはとくに大切な空間になります。
2.妊婦帯をススメる3つの理由
ここでは腹帯をススメる3つの理由を詳しく説明します。その3つは以下の理由です。
骨盤を保護・保温・固定する(タガをはめる)
骨盤が広がるのを防ぐ
将来起こりうる機能低下を防ぐ
骨盤を保護・保温・固定する(タガをはめる)
まず妊婦帯をススメる理由の大前提は、妊婦である女性をサポートするためです。たった10ヶ月くらいの間に身体が大きな変化を迎え、出産後も産んだ空間を元に戻しつつ、母乳など新たな変化も加わりそこに未体験の育児も加わります。流されるように時が進むなかで、身体の機能が刻々と低下していき後々の身体に影響を及ぼすことになります。
だからこそ、このときに適切にサポートすることが重要になるのです。
まず骨盤の固定、タガをはめるということです。
タガとは、温泉に使う桶など一般的な桶は木の板を円状にならべていき、輪っかとなるタガを周囲にはめ込むことで、桶がしっかりした環になります。
そうこの”タガが緩む”と桶は緩み、形を崩してしまいます。骨盤という環が緩み形を崩すのです。
骨盤でいうタガとは骨盤周囲につく様々な靱帯などです。筋肉で締まってるわけではないです。
多くの女性は生活や仕事上、もしくは過去の様々な要因で出産前から骨盤が緩んでいます。もともとこのタガが緩んだ状態なので、それを補強するためにも妊婦帯で固定しておくことはとても大切です。
さらに妊婦帯で固定することは、お腹を保護すること、そして保温性のあるもので覆うことで保温にもなります。大きくなるにつれて皮膚も薄くなり、冷えやすくなるので、妊婦帯を巻くことはそれらを解決することにもなります。
骨盤が広がるのを防ぐ
こちらも非常に大切です。妊娠期が進むにつれて胎児も成長していきます。成長していくと、お腹の中の胎児がいるスペースも大きくなっていきます。
そう、骨盤の中から広がろうとする力がでてくるのです。
ほっておくとその内から押す力、いわゆる内圧に耐えられなくなり骨盤周囲が緩んでしまいます。
またスペースが大きくなるということは、胎児も大きくなることができるということです。あまり大きく育ちすぎると出産時に母体への負担が大きくなります。だからこそ、腹帯で適正に骨盤を固定していくことで、必要以上の広がりを押さえられ胎児の過成長や骨盤の緩みの発生を低下させることになります。
将来起こりうる機能低下を防ぐ
この妊娠期そして出産後のサポートで重要なことはこの将来起こりうることを未然に防ぐことです。
ではどういったことが起こりうるのか、私が診てきた例として以下のものがあります。
出産後早いうちから現れてくる症状
腰が痛む、ぎっくり腰、肩がこる、頭痛、生理痛がひどい、膝が痛い、下半身がむくむ、足が冷たい、姿勢が悪い、下半身が太くなる など
子育ても一段落してから現れてくる症状
上記の症状の他に、肩があがりにくい、膝が変形している、尿もれ、歩くのが疲れる、眠りが浅い、股関節が痛い、便秘 など
これらの症状の要因の中に骨盤の緩みがあります。
前述したように骨盤は坐骨、腸骨、恥骨が合わさった寛骨と2つの寛骨の間に挟まれた仙骨からなります。
例えば骨盤の中で股関節がはまる寛骨が緩むと、うまく股関節が動かないため、膝や股関節の痛みを誘発したり、変形を伴うことにも繋がります。
恥骨の動きがなくなる
最も重要な部分に恥骨の動きがあります。骨盤の後ろは左右の寛骨が仙骨を挟んでいますが、前方は恥骨同士が合わさってるだけです。骨盤後ろは手のひら程度の連結の長さがありますが、骨盤の前方は指先くらいの長さしかありません。つまり後方より容易に崩れやすいということです。
骨盤の前方は恥骨結合といいます。ここは妊娠に伴い骨盤が中から広がろうとしているとき最も力がかかる部分で緩んでしまいます。とくに出産時が恥骨結合を離開させるのです。
離開すると上手く恥骨に力がつたわらないようになります。恥骨の動きがなくなるのです。そうするとまず歩行の起点となる部分なので歩行の質が低下します。また骨盤底の前方を支える部分なので、骨盤底が下がり機能しなくなることで、子宮などの機能低下、泌尿器の低下を招き、これが後の尿もれや婦人科系の疾患にも繋がります。
とくに要注意なのは出産後です。出産時は産み落としやすくするため、骨盤を最大限緩めます。前述した骨盤のタガとなる靱帯をホルモンにより緩めます。それは恥骨結合の部分も同様にです。
緩んだ靱帯や子宮はすぐには元のように戻りません。ですから出産後もタガとなる靱帯や子宮が元に戻ってくるまで固定することで、骨盤全体の機能が回復するまで見守る必要があります。約1ヶ月は必要だと考えています。
骨盤の固定については骨盤環としての固定です。よって後方の仙骨部分から前方の恥骨も含めて固定しないといけません。股関節が上手く機能しない出産後や元々機能低下している場合は骨盤環の固定にプラスして股関節へのサポート固定も必要です。
余談ですが腰痛やぎっくり腰などのときもお腹でベルトをするのではなく、骨盤環として恥骨や股関節も含めて上記のように固定すると普通に歩けます。
3.ライフスタイルに合わせた妊婦帯の選び方
最近は腹帯の重要性も見直されており、専門店での売り場をみても様々なタイプの腹帯があります。種類から大きくわけると晒しタイプ、腹巻きタイプ、ベルトと一体型もしくは分離型のショーツタイプ、骨盤環を固定するベルトタイプ、サポートベルトタイプなどがあります。
また出産後のことも考えられており、出産後用なども揃えられています。もちろん出産後用としての機能を考えて作られているのでいいとおもいますが、妊娠期用のものでも十分だと考えています。
ここからはどのように選んだらいいかライフスタイルや現在の状態なども交えて選び方のポイントを説明します。
会社など外で働く時間が長い女性は、一度外にでると帰宅するまで手間が少なく便利なものがいいとおもいます。
タイプとしては、ショーツタイプ、骨盤環を固定するベルトタイプ、サポートベルトタイプなどがあります。
在宅での仕事など、休んだりなどある程度自由がきく場合は、ショーツや腹巻きと一体型のタイプ、骨盤ベルトタイプ、サポートベルトタイプなどがあります。
共通していえることは骨盤環をしっかり固定するということです。
私自身は晒しタイプのものを使用していました。上手に巻けるようになると晒しが一番固定力があり、お腹いっぱいの形に合わせて固定できるからです。
最初は犬印のゴム付きの晒しタイプをして、後期には普通の晒しを半分に割いて、丸1本巻いてました。
時間的余裕があり巻くのも選択肢としていれることができる場合、私はオススメします。
しかし時間的余裕や手間などで選択肢にいれられない場合、骨盤ベルトタイプを主軸にして別に、普通の妊婦用の腹巻きやショーツなどを使用するのがベターだと考えます。晒しを選択するかたも毎日は洗い替えで面倒なとき、このベルトタイプを併用するといいとおもいます。
妊娠期そして出産後も使用していくものです。継続していくことが大切なので、自分がやりやすい、生活に合う、そういったものを自分を優先して選ぶのがポイントです。
また晒しタイプを私は毎朝巻いていましたが、後に妻に聞いたところ毎日協力してくれてたという印象をもってくれていたようです。
パートナーと話し合って、例えば毎朝協力してもらい晒しを巻いてもらったりベルトを巻いてもらったりする時間を持つこともオススメします。すると男性も妊娠・出産に協力している感覚が芽生え、今後の育児への協力や出産後の夫婦の生活面でもいい影響を与えることとおもいます。
4.妊娠初期から後期の骨盤変化とケア
妊娠初期はあまり骨盤に大きな変化はありません。しかし3ヶ月ごろになるとつわりがあります。
妊婦帯の使用開始は個人差がありますがつわりおわったころからがいいと考えます。
最初なので腹巻きタイプなどのものからでもいいとおもいますが、普段から腰痛や生理痛などあった女性は骨盤がすでに緩んでいることが考えられます。
このころから、固定力のあるベルトタイプなどを使用して備えていくことも必要です。
5ヶ月になるとお腹もぽっこり大きくなってきます。
晒しタイプ、ベルトタイプやサポートタイプを主軸にして、しっかり固定をして日常生活を過ごすことがいいと考えます。ちなみに就寝時はそれほどサポートはいらないと考えています。ただ上を向いて眠ることができない人はサポートのために、腹巻きタイプなどゆったりしたものを使用するといいとおもいます。
8ヶ月になるとさらにお腹は大きくなります。
臨月までにはウエストは約20cm程度増えることになります。重さも増すので晒しタイプ、ベルトタイプでの固定をしっかりして下からの支えを充実させてください。
固定は恥骨から後ろの仙骨まで、骨盤環を固定するイメージでしてください。
5.出産後の骨盤変化と妊婦帯の使用
出産後は前述したように、骨盤を固定していた靱帯や恥骨結合などとても緩んでいます。子宮も6週以上時間をかけて元に戻ってきます。
子宮や腸を含む臓器も胎児がいなくなり、急にスペースが空くので、それぞれが調整しあいながら最適な位置の戻っていこうとします。
つまり、元に戻っていくには自身が考えている以上に時間がかかるということです。
ですからまず出産後1ヶ月から1ヶ月半は、腰や骨盤に負荷のかかることはあまりよくありません。
大切なことはまず骨盤が緩んでいることを認識して、ベルト等でサポートをしてください。その上でできる範囲で歩いたり、屋内での自立、さらに余裕がでてきたら屋外なども歩いたりなど適宜していただくのはいいと考えています。
家事については、この期間はなるべく任せて自分の体力回復、赤ちゃんの世話を優先してください。
とはいえ出産後の周囲のフォロー環境や仕事、家庭の状況など人それぞれだとおもいます。
周囲としっかり相談等されて決めてください。ただ身体の大きな変化を乗り越えてます。その回復のためなので、自身を優先にしていただきたいです。
また、出産後に自転車に乗ることはオススメしません。サドルの下からの突き上げにより骨盤機能が破綻します。
今までのできるという意識を少し外して、身体の回復期ということを意識してみてください。